レスタのギター日記

50代でギターは遅い?大人が有利な理由

「40代から ギター 遅い」「大人 楽器 上達しない」——そう検索して、このページにたどり着いたのではないでしょうか。

まず、ひとつだけお伝えさせてください。そうやって調べている時点で、あなたの心はもう始めたがっています。 やりたくないことを、人はわざわざ検索しません。

それでも踏み出せないのは、「どうせ今からでは無理だ」という声が頭のどこかで鳴っているからだと思います。その声の正体を、この記事ではっきりさせておきましょう。

「遅い」と感じているのは、年齢のせいではなく、比べる相手を間違えているからです。

「大人は上達しない」の正体

大人になってから楽器を始めた人が最初にぶつかるのは、自分より若い人、SNSで滑らかに弾いている人、子どものころから習っていた人の存在です。そして無意識に、その人たちと今日の自分を並べてしまいます。

これは、たとえるならマラソンを始めた初日に、フルマラソン完走者と自分を比べているようなものです。落ち込んで当然ですが、比べる意味はまったくありません。

実際、専門家の見解として「絶対的な音の高さを聞き分ける力(いわゆる絶対音感)」は6歳ごろまでに育つとされていますが、基準になる音を聞いてから高さの違いを聞き分ける力は、大人になってからでも育つと言われています。つまり、音楽を楽しむのに必要な力の大半は、年齢で閉じてはいないのです。

ある教室では、48歳から運動不足の解消も兼ねてドラムを始めた方が「まったく遅くなかった」と話しているそうです。僕の周りでも、50代から始めて今も続けている方は珍しくありません。

大人が「上達しない」と言われる3つの理由

とはいえ、大人には大人の難しさが確かにあります。よく挙げられるのは次の3つです。ここを知っておくだけで、必要以上に落ち込まずに済みます。

理由①:練習時間がとれない

子どものころは、放課後にまとまった時間がありました。今は違います。仕事、家事、家族の予定。楽器に向かえるのは、5〜15分程度です。

でもこれ、実は不利ではありません。まとまった1時間より、15分を4回にするほうが身につくというのは、よく言われる話です。人の集中は、そもそも長く続かないようにできています。忙しい大人ほど、短く区切った練習のほうが結果が出やすいとも言われています。

問題は「まとまった時間がとれないから今日はやめておこう」と考えてしまうことです。休日にまとめてやろうと思っても休日には別の予定が入る。これが、いちばんよくあるパターンです。

理由②:ほめてくれる人がいない

子どもには、先生がいて、親がいて、発表会があります。うまくいけば誰かが気づいてくれる。

大人にはそれがありません。1時間練習しても、誰も何も言わない。この「反応のなさ」が、じわじわと意欲を削ります。大人が続かない理由として、練習時間の少なさよりこちらを挙げる専門家もいるほどです。

以前、50代からギターを始めた知人が、こんなことを話していました。「家族は誰も興味がないし、下手だから聴かせるのも気が引ける。だんだん、何のためにやっているのかわからなくなる」と。技術的には順調に伸びていた方だったので、僕にとっても印象的な言葉でした。

裏を返せば、自分をほめる仕組みを用意すれば解消します。大人の練習に足りないのは根性ではなく、楽しむことです。

理由③:頭で理解できてしまう

これが、大人特有のいちばん厄介なところです。

大人は、自分の演奏が下手であることを正確に理解できてしまいます。子どもは「弾けた!」と喜ぶ場面で、大人は「今のはずれた」「もたついた」と減点していく。この差は大きいです。

僕自身も、始めたころは録音を聴くたびに落ち込んでいました。耳だけは音楽をたくさん聴いて育っているので、理想の音を知っている。けれど指はまだ何も知らない。この理想と現実の落差に耐えられず、多くの大人がやめていきます。

ここで知っておいてほしいのは、その落差は「あなたの出来が悪い証拠」ではなく、むしろ耳が育っている証拠だということです。自分のずれに気づけない人は、いつまでも直せません。気づけるあなたは、直せる側にいます。

大人だからこそ持っている3つの強み

ここからが本題です。大人には、子どもが持っていない武器があります。

強み①:曲の仕組みを理解できる

子どもは丸暗記します。大人は「この部分とこの部分は同じ形だ」と気づけます。理解して覚えたものは、忘れても復元できます。丸暗記より、はるかに効率がいいのです。

たとえば1曲を練習するとき、大人は「出だしとサビの前の部分は、実はまったく同じ動きだ」と気づけます。気づいた瞬間、覚える量が半分になります。子どもは同じところを2回、別々に練習してしまう。この差が、練習時間の少なさをかなりの部分まで埋めてくれます。

強み②:目的がはっきりしている

「なんとなく親に習わされている」子どもと違い、大人には理由があります。この曲が弾きたい。仕事以外の時間がほしい。家族の前で1曲弾きたい。

目的がある人は、遠回りをしません。必要ないことを潔く飛ばせます。これは子どもには真似できない進み方です。

強み③:環境を自分で選べる

楽器を選べる。教室を選べる。練習する場所も時間も、自分で決められる。子どものころは与えられるだけだったものを、大人はお金と判断で用意できます。

たとえば40代から始めるなら、弦が4本で小さく、やわらかい音が出るウクレレが向いていると言われます。指が痛くなりにくく、置き場所にも困りません。こうした「自分に合うものを選ぶ」という調整ができるのは、大人だけの特権です。

教室を選べるのも大きな強みです。独学だと、うまくいかない原因が「自分の努力不足」なのか「やり方が合っていないだけ」なのか、区別がつきません。ここで何か月も遠回りしてしまう人は少なくありません。月に1回でも見てもらえる人がいると、その迷いがなくなります。大人は、その選択を自分の判断で用意できます。

今日からできる3つのアクション

最後に、5分で終わることだけ挙げます。

1. 比べる相手を「1か月前の自分」に決める。紙に書いて、楽器のそばに置いてください。SNSで上手い人を見るのは構いませんが、その人はあなたの比較対象ではありません。 2. 今日の15分を、カレンダーに入れる。「時間ができたらやる」ではできません。歯磨きのように、場所を決めておきます。 3. 今日弾いたことを一行だけ記録する。「5分だけ触った」で十分です。誰もほめてくれないなら、記録が代わりにほめてくれます。

50代でも、60代でも、始めるのに遅すぎることはありません。10年後に「あのとき始めておけばよかった」と言う自分を、ここで一人減らせます。

遅いかどうかを決めているのは年齢ではなく、今日触るかどうかです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました