レスタのギター日記

ギターを買ったのに弾かない理由と対策

ギターを買ったのに弾かない理由と対策

思い切って買ったギターが、部屋の隅に置きっぱなしになっていませんか。ケースを開けるのも、なんだか気が重い。埃をかぶった弦を見るたびに、小さな罪悪感がちくりと胸を刺す。そんな経験、実は珍しいことではありません。

僕はこれまで、ギターを弾く仲間から、たくさんの声を聞いてきました。その中で一番多く聞いてきた言葉が「実は買ってからずっと弾いていなくて…」という告白です。恥ずかしそうに、申し訳なさそうに話す方がとても多いのですが、そのたびに僕はこう思うのです。「それは、あなたの意志が弱いからではありませんよ」と。

「買っただけで満足」は、ごく自然な現象です

まず知っておいてほしいのは、楽器を買った大人のうち、1年以上続けて触り続けられる人はごくわずかだという調査結果があることです。つまり、買ったのに弾かない状態になるのは、あなただけの特別な失敗ではなく、多くの人が通る道だということです。

ここで大切なのは、「なぜ弾かないのか」を根性や気合いの問題だと考えないことです。「続かないのは自分の弱さのせい」という思い込みこそが、いちばんの敵です。 実際には、続けられない仕組みがそこにあるだけで、その仕組みを変えれば、多くの人は自然と楽器を手に取るようになります。

僕自身も、ギターを始めてすぐの頃、一度似たような経験をしました。当時は仕事のあとにギターを弾こうと思っても、リビングに置いたケースを開ける気力が湧かず、気づけば2週間、まったく触らない時期がありました。あのとき感じていたのは「弾かなきゃ」という義務感と、「弾いてもどうせうまくいかない」という漠然とした不安でした。今振り返ると、その2つの感情こそが、手を止めていた正体だったのだと分かります。

ギター仲間の40代の知人にも、同じような話をよく聞きます。ある方は、憧れの曲を弾きたくてギターを購入したものの、届いた翌週から仕事が忙しくなり、気づけば3ヶ月間、ケースを開けることすらなかったそうです。「もう今さら再開するのも恥ずかしい」と話していましたが、実際に一緒にケースを開けて、弦を1本鳴らしてもらっただけで、表情がぱっと明るくなったのを覚えています。「たったこれだけでよかったんですね」という言葉が、とても印象に残っています。

弾かなくなる、3つの本当の原因

原因1:「ちゃんとやらなきゃ」という完璧主義

多くの人は、ギターを弾くというと「きちんと教本(練習用の本)通りに、正しい姿勢で、決まった時間だけ練習しなければいけない」と考えてしまいます。この「ちゃんとやらなきゃ」という思い込みが、実は最大のハードルです。5分だけ手に取って音を出すだけでも立派な練習なのに、「30分はやらないと意味がない」と思ってしまうと、5分すら惜しくなり、結局ゼロになってしまいます。

原因2:置き場所が「見えない場所」になっている

ケースに入れてクローゼットや押し入れにしまい込んでしまうと、ギターの存在そのものを忘れてしまいます。人は、目に入らないものは自然と後回しにする生き物です。逆に言えば、目に入る場所に置いてあるだけで、手に取る回数はぐっと増えます。視界に入らないギターは、存在しないギターと同じです。

原因3:最初の一音を出すまでの手間が多すぎる

弦の音の高さを合わせる作業(チューニング)、教本を探す、椅子に座る、姿勢を整える――こうした「弾き始めるまでの準備」が多いほど、腰が重くなります。特に仕事や家事で疲れている夜は、準備の手間そのものが「今日はやめておこう」という言い訳の材料になってしまいます。

弾ける自分に戻るための解決方法

ここまでの3つの原因に共通しているのは、「気合いや意志の問題ではなく、環境と考え方の問題」だということです。裏を返せば、環境と考え方を少し変えるだけで、また自然に弾けるようになります。

まず完璧主義については、「今日は1分だけ弦に触る」というくらいまで目標を下げてしまいましょう。練習とは、上手くなるための時間ではなく、まず楽器と仲直りするための時間だと考えてください。 1分でも音を出せば、それは立派な「弾いた日」です。僕自身、「今日は弦を1回鳴らすだけでOK」と自分に言い聞かせることがよくあります。すると不思議なことに、1分のつもりが気づけば10分、20分と弾いていた、ということがよくあるのです。ハードルを下げることが、結果的に長く続けるいちばんの近道なのです。

次に置き場所については、部屋でよく目にする場所にギタースタンドに置くことをおすすめします。テレビの横でも、ソファのそばでも構いません。生活動線の中に置くことで、「今日も弾いていないな」という視覚的な気づきが、そのまま「ちょっと触ってみようかな」というきっかけに変わります。

最後に準備の手間については、チューニングをした状態のままにしておく、教本は開いたページのまま置いておくなど、「準備ゼロで弾き始められる状態」を作っておくことが効果的です。準備の手間が一つ減るだけで、行動へのハードルは驚くほど下がります。実際に、スタンドに置くだけで「気づけば毎日触るようになった」という声は、仲間からもよく聞きます。道具の使い方を変えるのではなく、道具との距離を縮めるだけで、行動は驚くほど変わるのです。

「今さら」という気持ちとの付き合い方

弾かない期間が長くなればなるほど、「今さら再開するのも気まずい」という気持ちが強くなっていきます。これは、ギターに限らず、運動や勉強など、あらゆる習慣に共通する感覚です。しかし、ここで考えてほしいのは、ギター自身はあなたのことを何も責めていないということです。弦が伸びていたり、少し埃が積もっていたりするだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。「今さら」と思っている時間そのものが、実はいちばんもったいない時間です。 再開に遅すぎるということは、決してありません。

また、「せっかく再開するなら、きちんと基礎から練習し直さないと」と気負ってしまう方もいますが、これも完璧主義の一種です。以前弾けていた感覚は、指先や体が思っている以上に覚えているものです。まずは肩の力を抜いて、以前好きだった曲のフレーズを少しだけなぞってみるくらいの気持ちで十分です。

今日からできる、具体的な3つのアクション

理屈は分かっても、行動に移せなければ意味がありません。今日から試せることを、具体的に3つ挙げます。

1つ目は、ギターをケースから出して、生活の中でいちばん目に入る場所に立てかけることです。 リビングでも寝室でも構いません。とにかく「見える化」することが第一歩です。

2つ目は、「今日の目標は弦に触るだけ」と自分に宣言することです。 弾く曲も、練習メニューも決めなくて構いません。ただ手に取って、弦を鳴らすことだけを目標にしてください。

3つ目は、1日の中で「ギターに触る時間」をあらかじめ決めてしまうことです。 「歯を磨いたあと」「お風呂上がりにドライヤーをかける前」など、すでにある習慣とセットにすると、意識しなくても自然に手が伸びるようになります。

僕が一番伝えたいのは、「弾けない期間があったこと」は失敗ではなく、誰にでも起こる自然な現象だということです。大切なのは、いつ再開するかであって、いつ止まっていたかではありません。 今日、ケースを開けて、たった1本の弦を鳴らすところから、また始めてみませんか。

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